不登校に関する調査研究協力者会議(所感)
先日、文部科学省にて開催された不登校に関する調査研究協力者会議(第6回)を傍聴しました。この会議には文部科学大臣(前半のみ)、文部科学省、学校関係者、フリースクール関係者など様々な立場の人が参加され、「不登校」をテーマに話しされていました。
不登校の現状としては不登校児童数は9年連続で増加し、ここ数年(特に令和3年度)は急激に増加しており、過去最多の人数となりました。不登校の子どもに学校外での多様な学びの場を提供することを目的とした「教育機会確保法」が2016年に制定、2017年より施行され、学校外での学びの場や多様な学びが保証されました。しかし、現状はまだまだ学校ありきで学校以外の学びの場や多様な学びが十分に保障されていません。
今回の会議で「不登校の検討にあたっての方向性(目指す姿)」が永岡文部科学大臣から示されました。
1、30万人の不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びを継続する。
・一人一人のニーズに応じた多様な学びの場(*)が確保されている
(*)不登校特例校、教育支援センター、スペシャルサポートチーム等
(*)こども家庭庁と連携し多様な居場所を確保
・学校に来られなくてもオンライン等で授業や支援に繋がることができる
・学校に戻りたいと思った時にクラスを変えたり、転校したりする等別集団への移動が認められている
2、心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する。
・一人1台端末で小さな声が可視化され、心の不安や生活リズムの乱れに教師が確実に気付くことができる
・小さなSOSに「チーム学校」で素早く支援することにより、早期に最適な支援に繋げられている
・教育と福祉等が連携し、児童生徒や保護者が必要な時に支援が行われる
(*)こども家庭庁と連携し自治体の教育部局と福祉部局等の連携を強化
3、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする。
・それぞれの良さや持ち味を生かした主体的な学びがあり、みんなが活躍できる機会や出番がある
・トラブルが起きても学校はしっかり対応してくれる安心感がある
・公平で納得できる決まりやルールがみんなに守られている
・障害や国籍の違いを肯定的に捉え、色々な個性や意見を認め合う雰囲気がある
4、「不登校」を科学的に把握する。
・不登校の要因や不登校の児童生徒の状況をデータで客観的に把握する
・不登校の児童生徒の個々の状況に応じた効果的な対応方法が確立されている
この「不登校の検討にあたっての方向性(目指す姿)」についても会議の中で話されました。これまでは官民連携を進め、学校ありきではなく、フリースクールなどの多様な学びの場を認めていく方向だったのが、今回の大臣が示した方向性では学校ありきの方向性に変わった感じがし、あらためて主役は誰なのかを考えさせれました。
学校ありきでなく、子どもたちが主役である多様な学びの場が官民問わずに増えていき、子どもたちが選択できる居場所や環境を作っていく必要があると強く思いました。